Demonic Psychic 偽サイキックリーディング

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ある日のこと。

私のパートナーがスーパーで買い物をしていた時、近寄ってきた人物にさっと名刺を渡されました。

その名刺には紙面いっぱいに様々なことが書かれていました。

要約すると

「私のサイキックで未来が見える。100発100中の正答率。あなたの人生を変えることができます。」

細かい文字を目を細めながら読みながら

「何?」

と彼女は不思議に思いました。

そして振り向いた時にはもうその人物はいなくなっていました。

ところが、レジに並ぶと目の前に先ほどの人物が立っていました。

それで彼女は声をかけてみました。

「先ほどこの名刺を手渡してくれたのはあなたですよね。」

「ええ、そうよ。実はあなたのことが心配になってその名刺を渡したんです。」

「心配?」

「はい。あなたは笑顔満面ですが、その体の内にはたくさんのネガティブなものを抱え込んでいますよ。」

「ネガティブ?」

「そしてそれが現在色々と問題を引き起こしています。あなた、何か困っていない?」

「・・・・・」

「私にはそれを取り除く力があります。私の自宅では40ドルの料金をとるのですが、今このスーパーの外でとりあえず一部でも外してあげます。」

「今そんなに現金を持っていません。」

「じゃあ20ドルでどうですか?」

結局彼女はその申し出を丁寧に断り、後ほど電話することを約束しその場を分かれました。

帰宅するとさっそく受け取った名刺を私にも見せてくれました。

「ふーん。そんなこともあるんだなぁ。」

それにしても突然見知らぬ人物から、

「あなたのネガティブなものが現在に色々と問題を引き起こしています。」

と告げられれば誰もがびっくりするのではないでしょうか。

人間誰しも問題のひとつやふたつは抱えています。

その問題が深刻であれば深刻であるほど、

「それがもし解決できるのであれば・・・・」

と藁にもすがる気持ちになるかもしれません。

いったいこの後どのような展開になるのか?

少し興味がありました。

それから1週間ほど過ぎて、約束どおり彼女は電話をかけました。

留守番にメッセージを残すと、1時間ほどして連絡がありその日にアポイントが取れましたので、私は車で彼女を指定された家まで送り、30分後くらいに迎えに行くことにしました。

先日名刺を渡されたスーパーとはかなり離れた街にある普通の家でした。

なぜ自分の街にあるスーパーには行かずに離れたところで買い物してたのだろう?

と少し疑問に思ったのを覚えています。

さて30分後、私のパートナーはその家から出てきました。

そして車にのるとじっと前を見つめてだんまり。

あの家の中でいったいどんな会話があったのかなぁ?

どんな人だったのかなぁ?

30分間の出来事を話してくれるのを待っていましたが、一向に口が開きません。

私も質問もせず二人とも沈黙のまま自宅へ車を走らせていました。

途中、ぽつりとパートナーが話し始めました。

「私、あの人を信じてみようと思う。」

「ふーん。」

「何回かあの人の所に通ってみようと思う。」

「なるほど~。」

「少しお金がかかるみたいだけど。」

「へぇ~。」

それ以上の事は伝えようとはしませんでしたので会話はそれで終わりました。

私は自宅に着くと早速スピリチュアル・リーディング関係の情報を調べてみました。

名刺に書かれてある名前も一緒に検索すると、同じ人物かどうかわかりませんが同名のサイキックに長い期間通ったが結局お金を無くしてしまった、というようなコメントが書かれてあるのを発見しました。

さらに調べていくと偽者サイキックに関する様々な情報を集めたサイトも発見しました。

偽者ジブシー・サイキック・スピリチュアリスト

このページには全米から寄せられたたくさんの偽者サイキックやリーディングに対するコメントが書かれてありました。

そういえばかなり前のこと。

私はテレビで偽者サイキックに関する番組を見たことがあります。

サイキックの学校があり、そこで学ぶと暖簾分けではありませんが自分のサイキックのお店を持つことができます。

もちろん偽者です。

様々な方法を使って悩んでいる人たちのお金を巻き上げるその醜い実態をテレビのカメラは追い続けました。

このような学校があるくらいですから、アメリカには偽者のサイキックが山ほど存在します。

車で走っているとネオンサインのサイキックの看板がたくさん出てきます。

「リーディング5ドルから」というような誘い文句につられて入ると、

「マイナスのエネルギーがあなたを不運な運命に導いています。」

「取り除かないと大変なことになりますよ。」

と不安を煽られ、何度も通って膨大なお金をつぎ込んでいる人もいました。

そしてある時騙されたのではないかと気づき、返金を迫りますが当然お金は返ってきません。

その手法とは

1)タロットカードでのリーディングを繰り返す。
2)あなたのための特別なキャンドルをつくり、それを灯す。
3)あなたを守る特別なスペル(呪文)をつくり、それを唱える。

が代表的で、その他諸々摩訶不思議な方法が続きます。

ちなみにキャンドルは一本で500ドルとかするそうです。

キャンドル一本が500ドルもするのですから、偽者サイキックはお金を儲けており大きな屋敷や立派な車を持っています。

さて私は検索した結果をパートナーに教えてあげました。

そしてどのように判断するかは彼女に任せることにしました。

ここから先は彼女自身の言葉で綴ってもらいました。

最初に透視を行うための20ドルを支払いました。

その結果

「やはりあなたの溜め込んでいるネガティブなものを取り払う必要があるわね。」

と伝えられました。

「これからの作業は本当は1000ドルかかるのだけど、あなたは特別よ。500ドルでいいわ。」

と言われ、

「そんなお金は払えません。」

ともちろん断ったのですが、

「あなたのせいでいろいろな不幸が家族に降りかかっているのよ。」

「今の困難も全部あなたについている悪が引き起こしています。」

「ここでそれを取り除かないと、自分とご主人どころか子供達にまでうけつがれてしまう。」

「私があなたを呼んだのではなく、あなたが私を呼んだのよ。」

と穏やかに諭され、結局その気になってその場で財布の中に持っていた100ドルを払ったのでした。

そして最後に

「誰にもこの話をしないように。」

と忠告されました。

「なぜ?」

とたずねると、

「二人だけのこの会話の内容を誰かに話すと効力がなくなります。」

「それに話を聞いた人にも、あなたの持つネガティブな運命が襲い掛かってくるからです。」

家族を守らなければならない。

そう思いました。

だから私はあなたには何も話せなかった。

あの日の夜にあなたから情報をもらい

「やられた・・・」

と思いました。

次の朝10時に電話をすることになっていたので、彼女の家の前までもう一度行きました。

そして電話をかけて

「やはりやめたいので、昨日の100ドルを返して欲しい。」

と伝えました。

するとスパニッシュなまりの英語で

「何を言ってるの?」

「昨日あなたがやるって言ったからすでに必要な道具を購入したし、昨日の夜からもう祈りを始めているのよ。」

「あなたはすでに私に400ドルの貸しがあるのよ。分かってるの!」

「今すぐ支払いなさい。」

とものすごい剣幕で一方的に捲くし立てられました。

私はその対応に非常に腹が立ったので、車を降り彼女の家のドアをたたきました。

するとネグリジェ姿で出てきて、すごい剣幕で私を悪魔呼ばわりし門前払いされてしまいました。

昨日とは手のひらを返した様なその変わり様に驚くとともに、自分が完全に騙されてしまったことに対してあまりにも情けなくなりました。

悪魔とまで言われたことにショックを受け、頭が真っ白になってしまいました。

呆然と車を走らせてその挙句、家の近くの交差点で信号無視をしてしまい交通違反チケットをきられてしまいました。

騙されてしまった彼女は、しばらくの間はショックで立ち直れなかったようです。

かなり時間がたってから、いったい何が起きたのかをすべて教えてくれました。

不安を煽り、マインドコントロールで自由自在に操り、お金を騙し取る。

ここまで深く暗示にかけてしまうほどの、その偽サイキックのやり方には脱帽しました。

違う街までやって来てスーパーで買い物をしならが、実は「獲物」を探していたのでしょう。

こうやってあちこちの街を巡りながらハンティングをしていると思うと、当初の疑問にも合点がいきました。

ジェームズ・ヴァン・プラグ(James Van Praagh)というサイキックをご存知ですか。

世界的に有名な方で、亡くなった方々からのメッセージを受け取ることができる人でたくさんの本も書かれています。

彼がインタビューで言っていました。

「サイキックはその力で幸せをもたらすために人々に仕えなければならない。」

「自らの金儲けのためにやっている輩はほとんどが偽者ですよ。」

「愛と許しが基になっていなければなりません。恐怖や不安で相手をコントロールするような方法は偽者の十八番ですから気をつけて。」

ちなみにジェームズ・ヴァン・プラグは宗教団体に関しても厳しいコメントをしています。

彼自身はクリスチャンですが、それまで自らが経験した宗教のあり方が不安や恐怖により人々をコントロールしていることに意義を唱えています。

だから特に宗教に属さなくても、愛に基づく信仰さえあれば大丈夫と言っています。

そういえばある時、高速道路で非常に大きな看板が目に入ったことがあります。

その看板にはこう書かれてありました。

「今日あなたが死んでしまうとしたら」

「天国?地獄?」

「真実を知りたかったら電話しなさい。」

と連絡先の電話番号が大きく書かれてあります。

不安を煽り、人々を募る。

どこか先ほどの偽者サイキックの手法に似ているように感じてしまうのは私だけでしょうか。

このように偽者サイキックが氾濫するこのアメリカで、いったいどうやって本物と偽者の区別をつけるか。

今回の出来事を参考にすると良くわかるのですが、高価なおまじないやキャンドル、相手の不安をあおるような話術、そして何よりも

「あなたの未来を変えることができる。」

その言葉がでたら、間違いなく偽者ですから気をつけましょう。

自分の未来は、その主人公である本人だけが創り上げることができるのであって、誰にもその代わりはできないのですから。

不安や恐怖を煽るものは危険です。

私たちは愛と許しをテーマにして生きていくためにこの地上に戻ってきたのです。

私もパートナーも今回はとても貴重な経験をしたと感じています。

皆さんの参考になれば、パートナーの120ドルの授業料も役に立ったというものです。

ではでは!


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