1998年9月13日
ビンセントは再度、天使と遭遇します。
彼はこの日、午前1時までラボで仕事をこなし退社しました。
ところが、外に出てオートロックのドアが閉まったところで、車の鍵をデスクの上に忘れてしまったことに気付きます。
鍵の束にはラボの入り口の鍵も入っていたため、中にも戻れず、また車にも入れずという状態になってしまいました。
ビンセントはここぞとばかり、神にトラックのドアを開けてくれるようにと祈りましたが、何も起きませんでした。
向かいの通りに公衆電話を見つけましたが、誰かに壊されており使えません。
その時彼は、バックパックに携帯電話を入れていたことを思い出しました。
が、こんな時に限って、昨夜充電のために電池を取り外したままにしていたのです。
(古い携帯電話のため、電池は充電するために取り外しが必要だった。)
電池がないのですから、携帯電話も使い物になりません。
切羽詰った彼は、神にもう一度祈りました。
「神よ、どうぞ私に電話をかけさせてください。」
すると突然、驚いたことに電池が入っていないにもかかわらず、携帯のパネルが光り始めました。
ビンセントはこの電池なしの携帯で友人に電話し、ピックアップしてもらうようにお願いしました。
友人は快く引き受けてくれ、安心したビンセントは、ラボの入り口前に座り友人を待ちました。
しばらくすると、パトカーがやってきました。
「そこで何をしているんだ?」
とたずねる警察官に
「友人を待ってるんです。」
とビンセントは応え、一部始終を説明すると、トラックのドアを開けてくれるように、また電話をかけさせてくれるようにと神に祈ったことなども伝えました。
すると警察官は、不思議なことを言いました。
「あなたの友達は来ませんよ。」
そしてビンセントが持っている聖書を見つめ
「良いものを読んでますね。」
と続けました。
そこから両者の話が弾み、ビンセントは信仰の事、神の来訪は非常に近いという自らの思いについても話しました。
警察官も
「私も神の来訪はとても近いと信じているよ。」
と同意しました。
その時無線連絡が入り、警察官はその場を離れることになりました。
ギアを入れると、窓からビンセントに向かって
「ラボのドアが開くようにと神に祈ってみたらどうだい。」
と伝えました。
ビンセントはゆっくりと動き出した警察官の車を見送りながら、心の中でラボのドアが開くようにと神に祈りました。
その時の事をビンセントはこう説明してくれました。
「祈りが終わるか終わらないかのその時、背中のほうでドアが開く音がしたんだ。」
「奇跡だと思ったよ。」
「音を聞いた瞬間、私は立ち上がりドアの方を振り向いたんだ。」
「中から誰かがロックを解除して開けてくれたんだと思った。」
「しかし、中にはだれも居なかった。」
「開いたドアのノブを手でつかみ、もう一度パトカーの方を見た。」
「そしたら、もういなくなっていた。」
「不思議なんだ。ほんの1~2秒しか目を離していないのに、目の前を走っていたパトカーがまた空気中に消えてしまったんだ。」
車を運転して自宅に向かう途中、友達の家の前を通ると、彼らの車が2台とも駐車していたので、たぶんピックアップするという約束を忘れたのだろうと思いそのまま帰りました。
ビンセントは帰りの車の中で、
「あの警察官は天使に違いない。」
と確信していました。
翌日、友達にピックアップの約束についてたずねてみました。
すると、友達もその奥さんも、二人とも
「電話なんてかかってこなかったよ。」
とビンセントに不思議そうに返事をしたのでした。
電池もないのに、突然光りだした携帯電話。
友達が迎えに来ないということを知っていた警察官。
鍵のかかったラボのドアが内側から勝手に開いたこと。
不思議な消え方をしたパトカー。
友達とその奥さん、両者とも電話を受けていないという返事。
今回の一連の出来事もまた、我々3次元の常識では説明ができないことばかりだったのです。
(つづく)
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