買ってきたCDプレイヤーには何十年もの埃が積もっていましたので、アルコールと綿棒で丹念に汚れを落としました。

綺麗にしながら気付いたのですが、プレイヤーの中にベートーベンのピアノ・トリオ曲集のCDが入っていました。

このプレイヤーの持ち主のお気に入りだったのでしょう。

磨き終えたプレイヤーで聞いてみることにしました。

その曲を聴きながら、その他のものも綺麗に磨く作業を続けました。

しばらくしてパートナーの所へ行くと、驚くような事実を発見していました。

婦人用の靴についてメーカーや作られた年代などを調べていたら、箱の中にメーカーから送られてきた時の書類が入ったままになっていることに気付き、偶然にも靴の持ち主の名前が分かったのだそうです。

その女性の名前はセシルさんと言い、あの家に住んでいた奥さんで、数年前、乳癌と急性骨髄性白血病を患い5７歳の若さで亡くなられていたのです。

そして、セシルさんのご主人の情報も見つかりました。

その方は胃腸病の専門医であり、熱心なサイクリストでした。

最愛の奥様をガンでなくされ、そして自らもまた腎臓癌で亡くなられていました。

余命少ないと分かった時に、この方はビデオで家族や大好きな方々への愛のメッセージを残されていました。

彼の言葉を聞きながら、部屋に沢山飾ってあった写真や、玄関でドアに手を当てた時に感じた女の子の楽しそうな声も思い出しました。

「精一杯生きたので、何ひとつ悔いはない。」

「最高の人生だった。」

そして、最も強調されていたのは、

“If you want something badly enough, you can achieve it. It might not be easy, but determination would see you through.”

“The key to success is persistence.”

「あなたが絶対手に入れたいと思えば、それは必ず手に入ります。

それは簡単ではないでしょう。

しかしあなたが心を決めれば、必ず実現します。

最も大切なことは、あきらめないということです。」

そしてこの男性の名前が実はKENさんだったのです。

私達はこの不思議なめぐり合いに驚きました。

この方が金曜日に聞いたKENさんだったのかどうかは確認のしようがありません。

ですが私とパートナーは二人そろって、直感的に間違いないと感じていました。

先ほどかけたピアノ・トリオの曲は、まだリビングで素敵な音色を響かせています。

私はなぜかそのCDプレイヤーに呼ばれるかのように席を立ち、リビングへ移動しました。

そしてプレイヤーを手にとって見ると、そこに１：１１のゾロメが出ていたのです。

私は鳥肌がたちました。

そして

「間違いない。メッセージを送ってきたKENさんはこの人だ。」

と確信した瞬間でした。

数日後、KENさんのことを伝えてくれた霊能力を持つ方に、全てが繋がり少しだけ謎が解けたことを報告をしました。

その詳しい話をする前に、あの時メッセージを送ってきていた方は、カタカナや平仮名のケンさん・けんさんだったのか、あるいは英語のKENさんだったのかと尋ねてみました。

すると、

「それは英語のKENさんで、すでに亡くなっている方のようです。」

との返事。

KENという名前を受け取り、伝えて下さった霊能者の方。

バトンを受け取った私達がその後経験したことをフィードバックし、謎解きが進んでいきました。

そして三者で間違いないと確信しました。

この少しだけ不思議な話、信じられますか？

すべて事実です。

金曜日の段階で、私達が翌日KENさんの家で行われたエステートセールに行くことがすでに決まっていたのでしょうか。

そこに来ると分かっていたので、魂であるKENさんがコンタクトをしてきたのでしょうか。

そうであれば、彼らの世界では私達のいう未来についても、すでに分かっているということになります。

また魂やエンジェルをはじめとするスピリチュアルな存在は、こうやって私達とコミュニケーションを行っているということを体験したことになります。

KENさんは、いったいどんなメッセージを送ろうとしてきたのでしょうか。

この後さらに、KENさんからのメッセージに含まれた深い意味が明らかになっていくのです。

（つづく）