1920年、エジソンはアメリカン・マガジン社のインタビューに対して、
「現在、霊と交信できる機械を開発中だ。」
と発表しました。
“Edison told American Magazine that he was working on a device known as a “spirit phone” ? in other words, a phone that would let the living communicate with the dead.”
(引用 GE Reports / http://www.gereports.com/edisons-forgotten-invention-a-phone-that-calls-the-dead/)
当時科学の発達のとともに、Ouija Board(霊との交流を行うボード)や交流会におけるEctoplasm(エクトプラズム)の目撃等に代表されるようにスピリチュアリズムも着実に広がりつつありました。
そこに発明王エジソンが、死んだ人と話しができる機械の開発を行っていると発表したのです。
この発言はアメリカ国民を驚かせました。
そして誰もが、「エジソンなら作れるかもしれない。」と思ったのではないでしょうか。
さて、その霊と交信する機械と思われているのが「Psycho Phone」(サイコ・フォン)と呼ばれるものです。
エジソンの蓄音機に似た構造をしているため、この奇妙な機械が霊と交信する電話ではないのかと物議を醸し出しました。
しかしエジソン関係の記録には、霊と交信する電話が開発されたという情報は記されていません。
そこで、この機械をオークションで購入した方が、実際に本物なのかどうかの調査を依頼します。
依頼先は「History Detectives」(歴史の探偵たち)です。
(リンク先情報: http://video.pbs.org/video/1143720703)
この番組、面白くて、とてもためになります。
ぜひご覧になってください。
英語なのでわかりにくいという方のために、簡単にあらすじを記しておきます。
依頼を受けた歴史探偵は、さっそくエジソン縁の街や博物館、またアンティークの機械をリストア(修理)するエンジニアなどに会い、様々な情報を集めていきます。
エジソンは常に自身の発明品にはエジソン・ブランドをつけているのですが、このサイコ・フォンにはそのブランド名が記されてありません。
またエジソンの蓄音機と同じようなシリンダーを使う構造ですが、エジソンが作った蓄音機はゼンマイで動くシステムであるのに比べ、このサイコ・フォンは電気で動くようになっています。
電話と名がついていますが、受話器はなく、代わりに時計が設置されています。
またその構造を調べていくうちに、リピートして何度も同じものが再生されるシステムであることも判明します。
こうやっていろいろと情報を集めていくうちに、最終的にこの機械がエジソンが作ろうとした「霊と交信する電話」ではないことが確認されます。
そしてさらには、この機械を発明した人物、およびこの機械がいったい何の目的で作られたかも探し当てます。
サイコ・フォンと名前がついているため、霊に関係するものと思われがちですが、このサイコは霊の意味でなく、成功哲学で言われるところの前向きな心、精神などを意味していることが判明しました。
またフォンも電話ではなく、どちらかと言うとリマインダー、あるいは目覚ましコールのような意味を持っています。
実はこの機械は自己啓発のために作られたもので、夜寝ている間に自動的に何回も「あなたは素晴らしい。あなたは成功できる。エトセトラ・・・」という録音された音声を耳元でささやかせるために作られたものだったんです。
時計がついているのは、スタートする時刻を設定するためで、一定時間後リピートして再生することができるようになっています。
当時録音されたオリジナルのシリンダーも発見され、依頼者もその音声を聞くことができました。
エジソンの霊との交信が出来る電話の話から、成功哲学の方へと着地点が代わりましたが、これはこれで非常に良くできた機械であると感動した次第です!!
ではでは。
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