中に入ると、沢山の人がそれぞれ品物を手に歩き回っていました。
エステートセールには日常使うものを買いに来る人から、値打ちの有る骨董品、金や銀などの製品を探しに来るプロもいますので、初日は大混雑します。
また部屋の中も、皆が隅から隅まで探しますので、なんだか泥棒が入ったような荒れ方になることもあります。
そんな中、私もあちこち部屋を回ってみました。
古い家具やレトロなアイテム、沢山のご家族の写真、大きなHDTVや立派なステレオシステムにコンピューター。
スポーツも愛されていたのでしょう、沢山のスポーツアイテムもありました。
またこの方はカメラマンでもあったのでしょうか。
各地を旅行し、その時に撮られたであろう美しい写真が大きく引き伸ばされ、所狭しと壁に飾ってありました。
夕日が沈む大峡谷
海と空の境目がどこにあるのかさえわからない美しい海
真っ白い雪の積もった冬山での山スキー…
この家に住んでいた人の人生を感じながら、心は遠い山や海へと飛んでいきました。
それにしても全てのものをこれだけ残して、この人たちは何も持たずに引っ越したのだろうか?
エステートセールにはいろいろな理由があります。
いつも詮索はしないのですが、この家ではすこし気になりました。
いろいろ考えながらいくつかの部屋を見ているうちに、私はすこし古い型のポータブルCDプレイヤーと、コンピューター用のモデムなどを見つけ買って帰りました。
ご婦人が使っていたと思われる非常に美しい帽子がありましたが、気になりながらも購入しませんでした。
この日、あと二つのエステートセールを回り、家に着くとパートナーに最初の家での事を話しました。
どうしてもあの帽子が気になったのです。
それで翌日もう一度二人で行ってみることしました。
翌日、日曜日。
今日は玄関の前には誰も並んでいませんでした。
待つことなく部屋に入ると、昨日に比べかなりの物が購入され無くなっていました。
私はパートナーを案内し帽子のおいてあった部屋に行きましたが、残念ながらすでに無くなっていました。
それで、その後キッチンやダイニング、書斎などを回りいくつかの品物を購入しました。
レトロな氷を砕くマシーン
シルバープレートの取っ手がついたガラスの水差し
バックギャモンゲーム
書斎にフェルト製の婦人用の帽子と、箱にはいったまま未使用の靴がありましたので、それも購入しました。
帰りの車の中での事。
パートナーが
「あのエステートセールをやっている人の名前、KENさんだったわね。」
と伝えてきました。
そういえば目の前でお客さんが
「KENさんはどこ?KENさんはどこ?」
と探していたのを思い出しました。
そうか、KENさんというのは、あの人のことだったのかもしれないな。
そのエステートセールの主催者は非常に親切な方で、また値段も安くしてくれるのでお気に入りでした。
しかし彼がそのENさんとして、いったいどんなメッセージを伝えたかったのだろうか?
金曜日の日に
「翌日にあるエステートセールに来てね!」
と霊能力を持った方にテレパシーか何かでお願いして、私達にメッセージを伝えたかったのかなぁ?
すこし無理な解釈だと思い、やはり謎は解決しませんでした。
(つづく)
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